先日、昔の仕事仲間であるメイクアップアーティストのEBARAさんから電話がありました。
EBARAさんは、元々Pat MacGrathさんという世界的にもめちゃくちゃ有名な方のお弟子さんで、今や日本では売れっ子のメイクさんです。
その昔、私と妻は彼と一緒によくお仕事をしていました。
そんな彼からいきなり電話がかかってきて、私はちょっとびっくりしました。
なぜかというと、私は心理カウンセラーになって以来、昔の仕事仲間と話すことはほとんどなかったからです。
「もしもし〜」
「あ〜、もしもし森川さん!」
「うお〜、EBARAさん、久しぶり!」
そんな感じで、一気に昔を思い出し、嬉しくて楽しい気持ちになりました。
EBARAさんが言いました。
「今日は森川さんにちょっと用事があって」
「お〜、なになに?」
「新しいプロジェクトを始めていて、森川さんにモデルをやってもらいたくて」
「オレが!?なんで?」
「あの〜、森川さん、キャラが濃いから(笑)」
キャラが濃い。
別にいいです(笑)
私の価値を見ていただいて、ありがたい。
なんとなく、どんなプロジェクトかわかりました。
全く同じ理由で私の妻もモデルをすることになりました。
ドンマイ、嫁!(笑)
このプロジェクトのために、EBARAさんは私たちの家に来て、メイクをして撮影することになりました。
過去のファッション撮影
EBARAさんが我が家に辿り着いて、妻と3人で一緒に話をしていると、昔のことを色々と思い出しました。
「そういえば、多くの撮影でEBARAさんには助けてもらったな〜」 そんな記憶です。
EBARAさんとはファッションの撮影を一緒に数多くこなしましたが、時々、撮影時間がすごく長くなってしまうことがありました。
朝早くから、夜遅くまで。
撮らなくてはいけないお洋服の量が多いと仕方がないことなのですが、それはなかなか大変な撮影でした。
撮影スタッフより大変だったのは、モデルの女性たちだったかもしれません。
外国人の女性のモデルは見た目とは裏腹に、結構年齢が若いことが多かったです。
だいたい、17歳前後くらいだったりしました。
彼女たちは知らない外国の地に来て、高い靴を履いて10時間以上の撮影が続くと、さすがに疲れた様子になったりしました。
若い彼女たちにとっては、大変なことだったと思うんです。
しかし、撮影する側としては、「数カットだけテンションが非常に落ちたものを作ってはいけないな〜」と考えたりして、なかなか悩ましいところでした。
そんな時、すごく頼りになるのがEBARAさんでした。
「EBARAさん、ちょっとヤバそうな雰囲気だから、なんとかしてもらってもいいかな?」
「お〜、任しといてください〜」
そう言って、EBARAさんがモデルと話しに行って数分経つと、彼女たちに元気が戻っているんです。
彼には何度も撮影の危機を救ってもらいました。
私は当時、「EBARAさんは一体どんな魔法を使っているんだろう!?」と思っていました。
妻をメイクするEBARAさん
メイクをして、自分で撮影もするという新しいEBARAさんのスタイルはとっても斬新で素敵なものでした。
ロク、自由にふるまう
撮影が終わって3人でお菓子を食べていると、EBARAさんのメイク機材用バックにロクがピョコンと乗りました。
我が家のロク、生意気ボーイ
それを見た私は、ロクに向かって言いました。
「ロク、そこ乗っちゃダメだよ〜」
ロクは何となく空気を読んで、バックから降りました。
その姿を見たEBARAさんが、ロクに向かって言ったんです。
「そりゃ、バックに乗りたくなるよね」
圧倒的な共感力
私はその言葉を聞いた瞬間、EBARAさんの魔法の仕組みがわかったような気がしました。
圧倒的な共感力。
一般的に男性は女性に比べて人の気持ちに共感する力が弱いと言われています。
「それは大変だったよね」
そんな共感の言葉を使う代わりに、私たち男性は女性の言葉を遮ってアドバイスをしてしまうことが多いようです。
「もっと、こうした方がいいよ」
そして、それが男女のすれ違いの原因の一つになったりします。
今回、EBARAさんがロクに言った言葉。
「そりゃ、バックに乗りたくなるよね」
私は心理学を学ぶ前には全く気づいていませんでしたが、EBARAさんには素晴らしい共感力がありました。
猫の気持ちに寄り添うことができるくらいの。
その共感力が、「異国の地に来て、不安いっぱいの若いモデルたちの心を安心させていたんだな〜」と思いました。
いや〜、なかなかできないことです。
EBARAさんが女性との関わり方がとても上手な理由がわかった気がした1日でした。